にわのこと

わが家の庭と植物について

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用土の排水性と保水性を調べてみました

 植物にはまると、用土を自分で配合したくなりませんか?私もネットや本で調べてオリジナルの配合を考えたりしていますが、一般的に言われている用土の特性ってほんとに正しいのか気になりませんか?
「軽石は排水性が良い」
「赤玉は保水性が良い」
なんとなく合ってそうだけど、どれだけ差があるんだろう?定量的に把握したくなったので、実験してみました。

 

 


目的:各用土の排水性と保水性を調べる

 排水性と保水性を考えるにあたり、本来はpF値(どのくらい根が水分を吸いやすい状況かを示す値)を用いるのが適切ですが、設備がないので簡易的に測定してみました。

まずは排水性と保水性を定義し、具体的な測定項目を決めます。

 

 

排水性:不要な水を排出し、根の呼吸に必要な空気量をどれだけ確保できるか

 《調査項目①》水やり後の水分量の推移

 《調査項目②》三相分布(水分、空気、材料の体積割合)

 

 

保水性:根が吸収できる水をどれだけ保つことができるか

 《調査項目③》数日後の水分保有量

     ※今回は4日後で比較

 

実験1:水やり後の水分変化量の測定

 調査項目①③を調べるため、各用土の時間経過に伴う水分重量の変化を調査しました。

 


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《実験条件》

使用容器:プレステラ90(250ml)
使用用土:硬質赤玉土(微粉除去)、硬質鹿沼土(微粉除去)、日向土(微粉除去)、軽石、川砂、バーミキュライト、パーライト、木炭、くん炭、ゼオライト、腐葉土、(ピートモス※はっ水して測定失敗)
※全ての用土を実験前に3日間天日干し

実験期間:10月(実験中は全て晴れ)
置き場:サンシェード遮光下 

 


実験結果①水分量の推移

 まずは重量変化を見てみましょう
なんとなく、このグラフで水持ちの差は見れそうです。

 

 くん炭とバーミキュライトの水持ちが群を抜いて良いですね。
最も水を含みにくいのが、木炭、その次がゼオライトと川砂。赤玉と鹿沼には差がなさそうですが、このグラフだけではわかりにくいです。やはり単純な水分量の推移からだけだと、排水性、保水性の判定は難しそうです。

 

実験2:三相分布(固相、液相、気相)を調べる

 調査項目②(空気の体積)を算出するにあたり、水分量と素材の体積を把握する必要があります。実験1で水分量は把握できますが、素材の体積がわかりません。各用土の比重を測定し、空気の体積を算出できるようにしました。

水分体積=(水やり後重量-水やり前重量)
材料体積=(水やり前重量-容器重量)×比重※算出方法は下記参照
気体体積=容器体積−(水分体積+材料体積)

 

比重の測定方法

各用土の比重は以下の手順で測定しました。

①メスシリンダーに水を100ml入れて、重量測定


②天日干しした各材料25ml(見かけ体積)を①に追加


③撹拌して材料を浸漬する。(材料を粉砕したり沈めたりして、空気を抜く。)

 ※浸漬に必要な時間は材料によって異なり、保管中はラップで蓋をした。


④重量を測り、①との差分が材料重量となる。


⑤メスシリンダーのメモリから体積を確認。増加分が材料の体積となる


⑥④と⑤から、材料の比重を求める

 

※下の画像は赤玉を入れた直後の様子で、よく見ると隙間から空気が抜けています。


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実験結果②三相分布

 測定した比重から材料の体積割合を求め、水、空気、材料の割合を棒グラフで表してみました。水分量は時間によって異なるので、1日後と4日後の変化がわかるようにしました。

 

 

 

 思っていたよりわかりにくいですが、よく見ると特徴が見えてきます。

特徴的な比率を持つのが川砂。材料自体の体積割合がかなり高いです。水も含みにくいのですが、空気も含みにくいという結果と考えます。
木炭はすぐにほとんどの水分が排出されており、水を含みにくく空気を保有できる用土と考えます。このグラフからも赤玉、鹿沼、ひゅうが、軽石の明確な差はみれないですね。

 

実験結果まとめ

 相対比較するため、排水性と保水性を指数化して、散布図で表してみました。それぞれの特性がパッと見でわかりやすくなったと思います。

 

 

 鹿沼土、ひゅうが土、軽石の排水性、保水性はほぼ差がありませんでした。鹿沼もひゅうがも産地が違えど軽石なので、差がなくてもおかしくはないかと思います。硬さは違うので、また別途比較したいと思います。

 

・鹿沼土は、赤玉土よりも20%排水性が増加し、20%保水性が低下する。(軽石、ひゅうが土もほぼ同じ)

 

・くん炭は、赤玉土に対して保水性が3倍近くある。多く入れすぎると根腐れの危険があるので注意する。(バーミキュライトも同じ傾向)

 

・川砂は赤玉土に対し、30%排水性が増加し、80%保水性が低下する。川砂は水も空気も保持し難い為、川砂主体の時は水やり頻度を変える必要があると考える。

 

・パーライトは赤玉土と同等の保水性だが、排水性は30%増加する。比重が小さい為、気相の割合が高くなっている。軽すぎるので、多く入れ過ぎると株が固定され難くなる為注意する。

 

 

最後に

 最後までご覧いただき、ありがとうございます。測定するのは楽しかったんですが、記事にするのが面倒で1年近く経ってしまいました。素人の測定と考察なので、間違いがあるかもしれません。ご意見等ありましたら、コメントやDMください。